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【バスケ留学生に密着】 「少しでも多くを学ぶ為に」

  マーセッド大学では、多くの留学生がアメリカの大学スポーツに挑戦している。プロを目指してスポーツに取り組む学生もいれば、4年制大学からの奨学金獲得を目指して部活動に取り組む学生もおり、一言で大学スポーツと言っても、その目的は学生によって様々である。今回は、そんな中で自分の成長を求めてアメリカでのスポーツ留学に挑戦した学生を紹介したい。スポーツだけではなく、勉学や現地学生との交流を通して自分の成長にストイックに向き合い続けたバスケ留学生の一年間に密着した。


バスケを通して

 亀田恭平君、20歳。2014年に日本の外国語大学に入学すると、アメリカでバスケがやりたい、厳しい環境で自分を成長させたいという想いで渡米を決意。1年間大学を休学し、2015年8月にマーセッド大学へ入学した。

 1年間という期限を設け、少しでもこの間に成長したいと、アメリカ留学を「修行」と位置づけた。時間が限られているからこそ、バスケに、勉学に、そして友人との交流に全力を費やした。

試合でシュートを放つ亀田君
試合でシュートを放つ亀田君

 

 マーセッド大学ではバスケットボール部に入部。8月からの2ヶ月に及ぶトライアウトを勝ち抜き、10月にロースター入りを決めた。中学時代の恩師から授かったという精神力とシュートを武器に、八千代高校時代にはシューティングガードとして活躍したが、アメリカではポイントガードとして20試合に出場、アグレッシブなディフェンススタイルでチームに貢献した。

 

 1月の頭には、大学の体育館でひたすらゴールに向かってシュートを打ち続ける亀田君の姿があった。同年代の友人達が日本で成人式を向かえる中、この機会を無駄にしたくはないと、同年代の留学生の中では唯一アメリカに残り、チームの練習に参加した。バスケ部では1月6日には早速試合が控えており、アメリカで経験を積むことを最優先に考えた結果の判断だった。

 

 部活動を通して、「自分からアピールをしなければ、決してチャンスは回ってこないということを学びました」と話す亀田君。アメリカの大学バスケの世界では、ゲーム中にシュートを打てる場面で打たなければ、その後はボールが自分に回ってこない。実力主義・個人主義の感覚が強いアメリカのスポーツを通して学んだことであった。


勉学を通して

亀田君の単語帳
亀田君の単語帳

 明るいキャラクターで、チームでもムードメーカーとなっている亀田君だが、学問に対する熱心さは非凡で、毎日単語帳を付ける等、意外な一面を持つ。

 亀田君は日本の大学ではポルトガル語を専攻しており、マーセッド大学ではスペイン語のクラスを履修している。日本語を含む4ヶ国語に分かれたノートには、アメリカ滞在中に思考し続けた痕跡が蓄積されている。冬休み中にはジョン・スチュアート・ミルの『自由論』を読み込み、アメリカに根付く思想を学ぶなど、少しでも多くの知識を吸収しようともがいた。

 

 一方で、秋学期には苦手としていた数学の授業に付いて行けないと判断し、学期途中でドロップを決意した。スポーツと勉学の両立には常に困難が付きまとう。言葉の壁がある留学生となれば尚更のことである。アメリカ人のチームメイトですら、取得単位が規定の数に届かず、春からバスケ部に参加できなかった学生もいた。亀田君は、「お金を出してくれている両親に申し訳ない」とこぼしながら、授業のドロップ手続きを進めた。



交流を通して

カフェテリアにて友人達と
カフェテリアにて友人達と

 バスケ部での活動を通して多くの友人が出来た。スポーツを通しての交流は、言葉の壁を容易に越えていく。バスケという共通言語を持つ者同士、仲良くなるのに長い時間はかからなかった。休日にはバスケ部のアメリカ人チームメイトからメッセージが届き、ストリートバスケの誘いがかかる。

 

 だが、亀田君には、そうした機会に恵まれているからこそ、アメリカに来て以来、心掛けていることがあるという。それは、「特定の仲間とだけ過ごすのは避ける」ことだという。同じ趣味を持つもの同士では、会話の内容やボキャブラリーも限られてきてしまう。より多くの語彙を身に付け、様々な文化に触れる為にも、出来る限り広い交友関係を持つようにしているのだという。

 

 

 亀田君の留学生活も残り3ヶ月を切った。バスケ部のシーズンは終了したが、現在は自主練習を続ける傍ら、英語やスペイン語の勉強に重きを置いている。作成した英語のエッセイを現地学生のチューターに添削してもらう日々だ。

 「アメリカ人よりも凄い英語のエッセイが書けるようになりたい」と話す亀田君の表情には、あどけなさの中に、確かに強さが芽生えていた。


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