【野球部】大山盛一郎君、アメリカでの挑戦

日本人にとって野球とは、長きにわたり多くの少年を虜にしてきたスポーツである。

大人になっても少年心を揺さぶる野球は、日本に最も馴染みのあるスポーツといっても過言ではない。

そんな野球人口の多い日本で、どれだけの選手がプロ野球選手を目指して日々の練習に取り組んでいるのだろうか。

年を重ねるごとに、その比率は減少する傾向にあるだろう。

しかし、ここマーセッドカレッジの野球部には、プロ野球選手になるべく真剣に練習に取り組む日本人学生が所属している。

 

彼の名前は、大山 盛一郎 (オオヤマ ジョウイチロウ)君

名門・沖縄県興南高校出身の彼は、Freshman(1年生)にも関わらず、今シーズン見事ロースター入りを果たした。現在シーズンが始まり10試合ほどが終了しているが全試合でスターティングメンバーに名を連ねている。(2020年2月14日現在)

Y.E.S.では、過去に野球部に所属する日本人留学生について取り上げてきたが、1年生でのロースター入りは、2010年の大久保祐貴選手(現在はオリックス・バッファローズにて通訳に携わる)以来だ。

この記事では、夢のまた夢と思われるようなプロ野球選手を真剣に目指し、日々研鑽を積む大山さんにインタビュー形式で迫っていく。

 

––– 大山君の野球のバックグラウンドを教えてください。

「幼稚園ぐらいのころから野球を始めました。生まれも育ちも沖縄ですので、マーセッドカレッジに渡米するまでは、中・高ともに沖縄で野球を続けています。」

 

––– 今シーズン、Freshmanでのロースター入りを果たしましたが、中学・高校時代でも活躍されたのでしょうか。

「中学3年生のときにジャイアンツカップという全国大会に出場させていただきましたが、初戦で敗退しました。高校時代は、3年生のときに夏の甲子園のメンバーとして出場させていただきましたが、ケガ等もあり最後まで試合に出場することはできず、悔しい思いをしました。」

 

––– アメリカ大学進学を決意した経緯について教えてください。

「アメリカの大学を視野に考え始めたのは、部活を高校3年生の部活を引退した後でした。部活も引退し大学のことについて考えなければと思い、たまたま手にした雑誌に、アメリカでの野球留学に関する記事が掲載されていました。その記事を読んだ際、日本では経験できないこと、日本とは違った野球を身につけることができるかもしれない、とふと頭に浮かびました。そして、その年の10月、アメリカで開催された1週間の野球セレクションに参加し、そこでの練習、環境、雰囲気から、アメリカでの野球は純粋に楽しい!と感じ、アメリカ留学への意思が固まりました。」

––– 急な決意であったと予想されますが、もともと英語に興味はあったのでしょうか。

「アメリカ留学を決意するまでは、特に英語が好きというわけでもなく、ただ学校で英語の授業を受ける程度でした。ですので、英語等もそこまで深く考えることなく、アメリカで野球をした方が自分のためになる、という思いだけで留学を決意しました。

部活引退後は自分なりに単語帳や文法書などで勉強していましたが、高校を卒業し、実際に4月にアメリカに来た際、本場の人が話す英語の速さに全くついていくことができなかったです。ですので、TOEFLをパスするにはリスニングを重点的に勉強しなければと思い、MCELIの授業を受けながら、TOEFLのために毎日78時間ほど勉強していました。その結果、無事に初回のTOEFLで合格することができ、あのときの勉強が現在のコミュニケーションの助けになっていると感じています。」

 

––– 興南高校という強豪校で練習をしていた大山さんにとって、アメリカでの野球はどのように感じるでしょうか。

「実際に練習に取り組んでみて、技術面、チーム力の面では日本のレベルの方が高いと感じました。

しかし、アメリカの選手は体格なども含め、個々の能力が高いので、日本ではみたことのないプレーを目にします。

元々、日本では経験できないことをしたいという思いがあったので、彼らのプレーから学ぶことはたくさんあります。

また、日々の練習や試合を通して感じたことは、アメリカの選手は純粋に野球を楽しんでいるという点です。

みんな感情豊かで、試合などでもビクビクせず、自分の能力の全てを発揮するために取り組んでいるという印象です。

アメリカのコーチや選手は決してプレーミスを責めません。彼らはミスをポジティブに捉え、そのミスをどうすれば防ぐことができるのかについて丁寧に教えてくれます。文化や感覚の違いもあるかもしれませんが、アメリカは伸び伸びと野球の練習に取り組める環境であると思います。」

 

––– 日々の練習で意識している点はありますか。

「アメリカの選手はとにかくパワーが圧倒的なので、パワーで勝負することは難しいです。その代わり、技術の面では日本人でも勝負ができます。自分の役割をしっかり理解し、自分の得意なフィールドで勝負すれば、アメリカの選手とも対等に渡りあえると思います。そういったことも踏まえながら、日々の練習では技術面を意識しながら取り組んでいます。

特に、大学の練習は高校時代の練習と違い短期集中型ですので、個々の意識や集中が大切です。また、自主練習の時間が多く取れるので、そこで自分の改善点を見つめ直す時間として技術面を中心に取り組んでいます。」

 

––– 現在の大山君のポジションやチームメイトとの交流について教えてください。

「昨年の秋学期から野球部に所属し、私にとって2学期目かつシーズンである今学期からロースターのメンバーとして、ポジションはセカンドで試合に出場させていただいています。

コミュニケーション面では、僕はまだまだ英語に慣れておらず、コーチやチームメイトの言っていることが聞き取れないことも多くあります。しかし、例え英語が流暢に話せなくても、まずはチームの一員として積極的にアクションすることが大切だと思っています。

例えば、とりあえずわからなくても自分の思ったことを大きな声でハキハキと話すことを意識しています。そうすることで、チームメイトも僕の言いたいことを汲み取ってくれてきちんと教えてくれます。

また、僕の英語の言い回しが、ネイティブの人にとって面白く聞こえるときは、チームメイトも笑ってくれて間違いを教えてくれますし、チームの雰囲気が和んだり、フレンドシップを築くという点で、思ったこと言いたいことをハッキリ伝えることは大切だと感じています。」

 

––– アメリカでは、部活動に所属するために、学業において一定以上の成績が求められます。英語や日々の勉強で普段から心掛けていることはありますか?

「英語に関しては、先ほど述べさせていただいたことを心掛けていますが、普段からこれといったことは特に意識しておらず、その場の状況でできること、意識しないといけないことを考え実行することを心掛けています。英語で〇〇する、ということにまだまだ慣れていないので、カレッジの授業においてもわからないことが多々ありますが、わからないときはとにかく周りの人や教授に聞くことを心掛けています。前学期も英語での授業は不安でしたが、わからないときは聞くことを意識した結果、大きな問題もなく全ての授業をパスすることができました。」

 

–––大山君は1年生ということもあり、カレッジでの生活はまだまだこれからです。現在の大山君の野球、勉学、将来についての目標を教えてください。

「野球に関しては、今シーズン、ロースターのメンバーとして試合に出場させていただいていますので、守備、バッティングはもちろんのこと、とにかく塁に出ることを意識して、チームの勝利に貢献できるよう精一杯頑張ることを目標にしています。

勉強面では、毎学期全ての授業をパスできるように日頃からコツコツ勉強することを意識します。また、カレッジ卒業後は4年制大学への編入も考えていますので、レベルの高いDivision 1の大学に奨学金を得て編入できるように、勉学も怠らず取り組みます。

将来の目標であるプロ野球選手になるためにも、掲げた目標を軸に日々努力したいと思います。」

 

*アメリカの大学体育会はDivision 1, Division 2, Division 3の三種類に分かれており、Division 1は三つの中でも一番レベルの高い、いわゆる1部リーグのことである。

 

–––最後に、留学を目指している人や、野球留学を目指している人にメッセージをお願いします。

「アメリカはあなたの努力を評価してくれる機会に恵まれています。どんなことであろうと、やる気と努力を続ける気持ちがあれば、留学に挑戦する価値は十分にあります。

野球に関しては、アメリカは実力に関わらず伸び伸びと練習ができる環境が整っています。大好きな野球を思いっきり楽しむには1番の国であると思います。

全ては個々の努力次第だと思いますので、やる気のある人はぜひ留学に挑戦してください。」

 

側から見ると、名門野球部出身の学生がアメリカに留学して活躍しているように見えるかもしれない。

しかし、人それぞれ得意不得意はある。大山君は、今まであまり触れてこなかった英語に対して真剣に向き合い、日々考えながら勉学に励んでいる。

また、野球においてもアメリカと日本の違いを分析し、自身にできることを導き出し、努力を続けている。

努力を怠れば、どれだけの才能、能力、過去の栄光があろうと宝の持ち腐れとなってしまう。全ての人に言えることは、日々の努力と挑戦する気持ちを持ち続けることが、自身の目標に近づく1つの方法である。

大山さんのプロ野球選手への道はまだ始まったばかり。

これからの彼の努力、活躍に今後も目が離せない。


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