ATCを目指す学生たち~マーセッド大学アスレティックトレーニングプログラムの活動内容~

 2020年に東京オリンピックを迎える日本では、アスリートの育成はもちろんのこと、スポーツトレーナーの育成にも力を入れる動きがあります。それに比例するように、日本国内でのスポーツトレーナーを目指す学生の数年々と増え、海外へと飛び立ち、ストレングス&コンディショニングや、アスレチックトレーニングなど、様々な種類のトレーナーに関する資格取得を目指す学生増えているのが現状です。今回は、現在マーセッド大学にてアスレティックトレーナーを目指す学生たちの様子を取材しました。彼らの多くは、NATA公認アスレティックトレーナー(NATA-ATC)になるべく、当大学でのアスレティックトレーナープログラム参加しています。

 


ATCが選手に怪我の状況を聞いている様子
ATCが選手に怪我の状況を聞いている様子

NATA-ATCという資格

 NATAとは、全米アスレティックトレーナーズ協会の略で、当協会の公認アスレティックトレーナーはATCと呼ばれています。日本では、「ATC」の他にも、「NATA認定アスレティックトレーナー」と呼ばれていることもあります。NATA-ATCの資格取得を目指して渡米する日本人は多く、現在170名を超える日本人ATC医療現場で活躍しています。当資格を取得するには、CAATE(アスレチックトレーニング教育認定委員会)公認大学のアスレティックトレーニングプログラムを修了する必要があります。

 これまでは、学士号(Bachelor Degree)課程を修了し、ATCになる人が多い印象でしたが、現在は多くの大学が学士号プログラムから修士号(Master Degree)課程へと移行を始めています。そして2022年の秋学期以降には、全大学が学士号でのアスレティックトレーニングプログラムへの参加を認めなくする予定にあり、修士課程にてプログラムへ参加することが必須条件となります。


アメフトの練習を見守る学生トレーナーたち
アメフトの練習を見守る学生トレーナーたち

マーセッド大学でのプログラム

 マーセッド大学には、2人のATCが勤務しており、アスレティックトレーニングプログラム参加を希望する学生は、彼らのもとでアスレティックトレーニングについて学ぶことができます。当プログラムに参加している学生たちは、Student Trainer(学生トレーナー)と呼ばれています。「やる気のある学生には、たくさんのことを学ばせてあげたい」という両ATCの思いがあり、これまで、多くの学生が2人のもとで学んできました。

 当大学の運動部はアメフト、水球部、バレーボール部、男女バスケットボール部、陸上部、水泳部、野球部、そしてソフトボール部が挙げられ、ホームゲームの際は、会場にて選手のサポートを行います。当プログラムに参加する学生たちは、1年を通して々なタイプの怪我を目の当たりにするので、多くの経験を得ることができます。また、秋学期といえば、全米で最も盛り上がるスポーツである、アメリカンフットボールがシーズンを迎える時期です。アメフトのシーズンには、ATCと学生トレーナー達が毎日の練習を傍でサポートし、ホームゲーム、またはアウェイゲーム関わらず、シーズン中に行われる全ての試合に帯同します。

 

学生トレーナーが選手にテーピングを行っている様子
学生トレーナーが選手にテーピングを行っている様子

トレーナールームでの業務

 当大学のアスレティックトレーニングプログラムは2年間で修了する内容となっており、現在は合わせて16名の学生が当プログラムに取り組んでいます。プログラムの1年目は、ほとんどの時間をObservation(観察)に費やします。その理由として、アメリカへの留学当初は、アメリカのスポーツ環境に適応する必要があるためです。また、観察を通して周りの状況を素早く察知する能力を身に着けることも理由の一つです。学生トレーナー達は、ほぼ毎週金曜日に行われる、ATCによる様々なジャンルのレクチャーを受け、着々と知識や技術も身に着けていきます1年目の学生たちは、目標とされている一定数のテーピングやストレッチのテストを合格することで、少しずつ選手に対して実践していくことができます

2年生になると、当プログラムの中で最上級生となり、より責任感を持った中で取り組むようになります。彼らができることも1年目と比べて格段に上がるため、より多くの知識量と技術が必要になります。ストレッチ、テーピング、そしてリハビリテーションを通して選手と関わる時間も多くなるため、選手との信頼関係を築くことが大切になります。その過程で特に必要とされるのが、ある程度の英語力を身に着けること、そして選手と積極的にコミュニケーションを取ることです。日本人学生トレーナーがアメリカ人選手との間で信頼関係を築くことは、通常なら、文化や言語の違いからコミュニケーションを上手く取れず、多くの時間を要してしまいます。そんな日本人学生たちの悩みを解決するために、当大学のATC達はある取り組みを行っています

次回、コミュニケーションの大切さ、そして当大学のATCたちはどのようにして学生トレーナーに選手との信頼関係の構築を習得させているのかをお伝えします。


マーセッド大学学生トレーナー紹介動画

 当動画では、学生トレーナーの活動様子を紹介しています。今回取材させていただいた時期がアメフトのシーズン真っ只中だったこともあり、動画では主にアメフトの練習並びに試合に帯同している様子をご覧いただくことができます。彼らの多くは、マーセッド大学のトレーナールームで2年間アスレティックトレーナーになるための知識や技術を習得し、4年制大学へと編入します。マーセッド大学のアスレティックトレーニングプログラムは、4年制大学のように公式に認められたものではありません。しかし、マーセッド大学在学中に得られる経験は4年制大学、そしてアスレティックトレーナーになった際活かされてきます




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