女子アスリート特集④陸上部 友井 優花

 今回で4回目となるマーセッド大学女子アスリート特集では、マーセッド大学・陸上部に所属する友井 優花(トモイ ユウカ)さんについてご紹介する。友井さんは、今年で留学2年目となったタイミングで日米の違いの垣根を乗り越え、“陸上の本場” であるアメリカで、ハードル種目に挑戦することを決意。その決断に至る過程には、1年間の達成感と充実感を味わうことのできなかった留学生活と、仲間の後押しが異国の地での大きな一歩を踏み出す勇気を与えた。彼女は、今学期から週4回の練習に加え、多くの授業を受講している。その環境の中で、彼女の座右の銘である “文武両道” の精神を突き通し、彼女自身の足で新たな道を歩み始めている。また、挑戦することによって、一年目の彼女では得ることのできなかった充実した日々を送っている。誰もが憧れるであろう、挑戦の先にあった充実した留学生活について、日米間の文化と、スポーツを取り巻く環境の違いから迫る。 

陸上挑戦に至るまでの過程

 友井さんの将来の夢は、彼女の得意分野であるバイオメカニクス(生体力学)の研究職に就き、彼女の研究により世の中の役に立つことである。日本で高校を卒業後、バイオメカニクス分野において優れた施設や環境を持つアメリカでバイオメカニクスを学ぶため、アメリカでの長期留学を決意した。留学を志した当初、友井さんのご両親は、安全面等の懸念より留学について反対していたが、彼女の熱い思いを止める事はできなかった。しかし、彼女を待ち受けていた留学生活は想像とは違うものであった。周囲を見渡すと多くの日本人留学生に囲まれ、英語を使う環境を積極的に作ることができずにいたのだ。その空間は楽しいものではあったが、留学生としての充実感を感じることができないままでいた。そのもどかしい気持ちを抱きながら、1年間をアメリカの地で過ごしていた時、彼女に新たなものに挑戦する勇気を与えたのは、同大学バスケットボール部に所属している中島 采加さんの姿であった。その後、彼女は自身で陸上部のコーチと頻繁に連絡を取り、夏季の2週間にわたり陸上部の見学を行った。その際、陸上部のメンバーは彼女の見学を大歓迎した。この瞬間に、彼女の抱いていた挑戦することへの不安は消え去り、陸上への好奇心を呼び覚ますとともに、胸を高まらせたのであった。

挑戦することで得た、充実した日々

 留学2年目を迎えた彼女は、陸上の本場であるアメリカで、新たな挑戦することを決意した。高校時代に経験のある400mハードルを主戦場と決めたが、身体の大きなアメリカ人と競うことは容易でない。しかし、その不安を取り除いた一つの要因は、陸上部ヘッドコーチであるフォイ コーチの存在である。コーチは選手、一人ひとりに的確なアドバイスを行い、素晴らしい信頼関係を選手たちと築いている。以前、友井さんが彼に練習方法についての質問をした際には、「失敗を恐れないように」とポジティブな励ましを行った。その一言で、彼女は心が軽くなったという。また、彼女のチームメイトも、大きな存在の一つだ。彼らは厳しい練習にも必死に取り組み、常に励まし合うことを決して怠らない。このような素晴らしい練習環境は、コーチと選手の信頼関係により、作り出されているのであろう。週末には、友井さんを含めた部員で課外活動等のアクティビティを行い、部員同士の絆を深めている。

 彼女に現在の留学生活について質問したところ、「日々の新たな発見と出会いが、今の充実した時間を作っている要因の一つであり、毎日が楽しくて仕方がない」と弾けるような笑顔で答えてくれた。今の彼女を取り巻く環境は、彼女に失敗する恐怖を忘れさせた。挑戦することで得られた、留学を肌で感じることのできる空間は、彼女のかけがえのない充実した時間を生み出している。

アメリカでの “文武両道” 

 アメリカの学生アスリートを取り巻く環境は、“文武両道”を生み出している。彼らは、在籍している大学やOB・OGからの寄付金等により多面的、かつ手厚いサポートを受けている。強豪校の場合、その寄付金の額は数億円に及ぶこともあるのだ。しかしその表舞台とは引き換えに、彼らは学生アスリートとして活動するために、学業成績の指標であるGPAの標準値である2.00以上に保つ必要がある。(マーセッド大学の場合)。この文武両道に徹底された環境は、例外なく留学生アスリートにも適応され、毎日各学生が受講しているクラスとは別に、自習室にて一定時間の学習が義務付けられている。 

 このような環境の中、友井さんは常に “文武両道” の意識を持つとともに、与えられた時間を有効利用するための時間管理(タイムマネジメント)を決して怠らない。授業や練習の合間には図書室に通い、授業の予習・復習を行うだけでなく、定期試験の対策までを確実に行っている。このような日々の努力の積み重ねと、勉強・スポーツにおいて100%の力を出し切る姿勢こそが、彼女が見つけ出した本当の意味の“充実”した留学生活であり、自分自身で成長を感じることができる素晴らしい空間を作り出しているのである。

 

これからの留学生アスリートへのアドバイス

 日米の文化の違いでもあるのだが、日本でよく見られる “聞かない美学” はアメリカでは役に立たない。この件について彼女にアドバイスを求めたところ、「わからないことがあれば、常に聞き返し、理解できるまで聞き続ける。自分の意見があれば、相手が理解できるまで伝える。シャイという言い訳で質問することを恐れることは、その後の信頼関係の悪化に繋がってしまう。」と力強く答えてくれた。彼女自身、アメリカという土地で陸上を始めて、より一層、この文化の違いに気づくことができたという。   

 友井さんが歩み始めた学生アスリートという道はまだまだ始まったばかりだ。彼女は現在の ”文武両道” の精神を貫き通し、より充実の日々を作り出すであろう。これからもアメリカの地で輝き続ける彼女の動向に目が離せない。

 次回の特集は、マーセッド大学ソフトボール部に所属しているアンタオ しおんさんの特集を行う。彼女は、ソフトボール部に所属するとともに、同大学のトレーナープログラムにも従事している。その彼女の積極的な姿勢、探求心についてご紹介する。

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7月21日更新                  

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