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アメリカのお祭り、フェアと農業の関係性

 

 

アメリカのお祭り、フェアとは?

 

 アメリカには、夏休みから秋ごろにかけて各州・各地域で開催される「フェア」と呼ばれるお祭りが存在します。

 日本のお祭りとは違い、派手やかで、まるで遊園地に来ているかのような煌びやかなお祭りです。実はこのフェアとアメリカ農業には意外なつながりがあるのです。

 

 アメリカのフェアの歴史は19世紀にまで遡り、当初は地域の農業を促進させる目的として始まりました。主に家畜や農産物の品評会として開催されたのがアメリカのフェアの起源と言われています。そして、20世紀ごろからアメリカ社会が農業中心の社会から産業社会へと発展していったことを背景に、現在のフェアのように、遊園地やゲーム、カーレースにコンサートなどのエンターテインメント要素が導入されました。大規模なフェアでは、毎年わずか一週間から二週間の間に百万人以上の来場者が訪れます。

 

 どこで開催されている?

 

 フェアは、アメリカのほとんどの州・郡で開催されています(日程等は地域によって異なります)。各州・群にはフェアグラウンドと呼ばれる土地があり、普段は閑散とした広い土地ですがフェアが始まると多くの人で賑わいます。

 

 それらは、年に一度催されるステイトフェアやカウンティーフェアと呼ばれる各地域の特産や名産物の展示や、農産物・家畜の品評会が行われるお祭りの為に使われる場所で、簡易牧場や品評会の為の建物が保存されています。

 

アメリカ農業とフェアの関係性

 

 アメリカは農業が盛んなことで有名であり、カリフォルニア州だけで毎年78ものフェアが催されています。52の地域農業組合、23の郡/非営利のフェア、2の柑橘果物のフェア、そして州全体から特産品などを集めた州のフェア・展示会・品評会が開催されています。季節ごとに出品されるものが変わるため、年に二度フェアを開催する地域もあり、農産物の品目や地域によって様々な種類のフェアがアメリカ全土で開催されています。

 

 カリフォルニア州では1850年代にステイトフェアが初めて開催され、当時は農家や農業に携わる企業が中心となり、品評会や畜産物紹介などが行われていました。それが時代と共に発展し、現在では多くの娯楽施設が追加されましたが、今でも州と地域の農業を促進するために多くの農業関係者がフェアに参加しています。

 

 現在でも、フェアでは大々的に家畜や農産物の品評会は行われています。主にフェアでは、FFA(Future Farmers of America)4H(農務省を母体とする青少年育成事業)のメンバー達がライブストックショー、また品評会を開催しています。




 フェアの経済的影響力

 

 実際にフェアでは多くの農家たちが家畜を競りに出しており、フェアは農業関係者にとって、年に一度の大きなビジネスチャンスの場になっています。

 カリフォルニア州では、州内のフェアがもたらす経済的影響はおよそ265万ドル(2億8,270万円)と言われており、フェアによる経済的影響が非常に大きいことがわかります。

 

 また、右のグラフはノースカロライナ州の人口とステイトフェアの来場者数のグラフです。グラフを見て分かる通り、人口増加と比例して来場者が増加傾向にあり、毎年来場者が増加の傾向があることが分かります。

 

 

  さらには、各州・各郡のフェア運営に当たり、多くの雇用機会が生まれています。そのため、失業者や夏休み中の学生などへの雇用機会、そして夏休みを利用して訪れる来場者の会場内での消費などにより、1-2週間のフェアでの利益は地域、そして州を支える収入原にもなっているのです。


 

農産物の品評会

 

 その年に収穫した野菜から干し草まで、それぞれの品質の違いを競い合う品評会が、群ごとに行われるカウンティーフェア、そして州ごとに行われるステイトフェアで催されています。同じ品種の野菜でも育て方、土の種類などによって大きさや味が異なるため、品評会では様々なカテゴリー別に評価され、品評会で入賞した農産物が、フェアでも展示されています。農家にとって入賞することは、その農家のブランドを宣伝することができる機会となるため、多くの農家が品評会へ向けて耕作に励んでいるのです。


 

ワインの試飲会

 

 フェアでは、その地域の名産・特産品が一堂に集います。カリフォルニア州のステイトフェアでは、州の名産から高級品、受賞品などクオリティの高い農産物が集められています。特にカリフォルニア州はワインの名産地としても知られており、ナパバレーを始めとする多種多様なワインが州内で生産されています。そのため、毎年カリフォルニア州のステイトフェアには毎年、各州、各国から多くの人々が訪れ、数多くの有名ワインの試飲会を楽しんでいます。農家たちは商品の良さを消費者へ直接伝えることの出来る貴重な機会となっています。



いかがでしたか? 農業大国アメリカならではの、農業が中心となった大規模なイベントがアメリカでは毎年の恒例となっています。 農業の強みを存分に活かしたこのフェアは、地域の農家と消費者とを繋げるだけでなく、地域の経済活性化へも繋がる、多くの情報提供の場が設けられているのです。 FFAや4Hに参加している学生らにとっても貴重な体験のできる場として、フェアグラウンドは毎年多くの人々で賑わっています。 機会があれば是非、農業という観点からアメリカのフェアに足を運んではいかがでしょうか?

 


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